母校が、
全国高校駅伝に出場することになった。
33年ぶりの出場…
僕が入学するちょうど1年前に
出場して以来だ。
ほどなくして、
寄付金のお願いが届いた。
芳名録を見ると、
多くの人が1万円。
自分も同業者であり、
迷わず1万円だと思った。
行為としては、
何もおかしくない。
むしろ誇らしい部類だと思う。
それでも気持ちは重かった。
自分の管理しているお金からは、
その1万円を出す判断ができなかった。
結果的に、
家計から出してもらうことになった。
そのお願いをする時間が、
正直とても嫌だった。
金額の問題じゃない。
自分で出せないこと自体が悔しかった。
そのとき、はっきり分かった。
自分が嫌だったのは、
寄付をしたことでもお願いをしたことでもない。
「誇りをもって払いたい場面で、
自分の裁量で払えなかったこと」
ここだった。
お金をたくさん持ちたいわけじゃない。
派手に使いたいわけでもない。
ただ、こういうときに
「これは自分が出す」
と、自然に言える男でいたかった。
今回の1万円は、
浪費でも、失敗でもない。
でも、自分の中では
明確な“宿題”として残った。
次は、
気持ちよく払いたい。
誰にもお願いせず、
自分の判断で…
この感情を忘れないために、
ここに記録しておく。





